【書評】竹村彰通「データサイエンス入門」(岩波新書)
今回紹介する本は、竹村彰通「データサイエンス入門」(岩波新書)です。
最近当たり前のように聞くようになったビッグデータやAIですが、そのデータの価値を解釈するためにはデータサイエンスの知識が必要になります。
本書は、これからの時代にデータサイエンスが必要となる背景、データサイエンスの基礎知識を紹介してくれる本になります。
【概要】
・データ処理、データ分析、価値創造というデータサイエンスの三要素
・AI解析が得意なのはデータの相関を見つけること
・学ぶ必要があるデータサイエンス
○データサイエンスの三要素
冒頭でもご紹介したように、これからの時代はデータの価値を解釈するために、データサイエンスが必要になります。
データサイエンスで必要になる知識は、データ処理に情報学、データ分析に統計学、データから価値を引き出すためのそれぞれの応用分野の領域知識となります。この「データ処理、データ分析、価値創造」というのが、データサイエンスの三要素なのです。
そして、アメリカなどでは統計学の学部が存在し、生物統計学や統計学が人気の学部なのに対して、日本には統計学専門の学部が存在していなかったという大きな差があり、データサイエンスにおいて遅れを取ってしまっているというのが現状なのです。
○データの特徴
データにも様々な種類のデータがあります。
様々な区別の方法がありここでは紹介しきれないので、ぜひ本書を読んでみてください笑
データサイエンスで重要なことは、何が未知数であるか、どのように推定できるかを考えることです(数学の問題みたいですね笑)
今の時代で注意するべきデータの特徴としては、「相関関係と因果関係」です。
因果関係は想像しやすいと思いますが、原因と結果の関係です。
それに対して相関関係は、ただ二つの事象に関係あるだけで、そこに理由はないという関係です。
AIは今の段階では理由付けできるわけではないので、因果関係ではなくあくまで相関関係であるということが大事になります。
○データサイエンスという知識
これからはデータサイエンスを学ぶ必要があります。
身近なところで言えば、Excelというデータ処理および可視化の手段があります。
最初にご紹介したデータサイエンスの三要素を考えますと、Excelでデータ処理を行えるというのは、「今のところは」データサイエンスのスキルの一つであるといえます。
しかし、今後はこのデータ処理やデータ分析の領域にビッグデータや人口知能が登場します(しています)。
データサイエンスはこれからも必要になるとは言え、形を変えていくと思われますので、常に学び続ける必要があるのでしょう。
今回は「データサイエンス」に関しての書籍をご紹介しました。
これから必要になる知識ですが、実は今の高校の数学では基本的なデータ分析を行っています。平均値、中央値、分散etcといったことを扱うようになったことは、意味があると思います。
実はこの統計に関しても面白い知識がありますので、また紹介してみたいと思います!
選択肢がないのか気づいていないのか
こんにちは。
8月ながら学会等に向けてちょくちょく研究をしているASUMOです。
前回は理系の移行について書いてみました。
今回は現在の選択肢に関して少し書いてみたいと思います。
基本的に今の日本では、文系職、理系職というすみわけがされています。
なので社会的に研究を続けるという選択肢が与えられています。
実際に大学の推薦であれば、推薦書さえ出せば内定というようなところもありますね。
このように自分の研究の延長線上という選択肢は確実に存在しています。
それではこれ以外の選択肢は存在するのか、広がっているのか、それとも、狭まっているのでしょうか。
端的に言ってしまえば、選択肢は「狭まっている」と思っています。
背景には、新聞に書かれているように就職活動の延長による影響が存在しています。(内わかりやすい例でいうと定解禁の6/1に学会があったりします笑)
他の職を知るという機会が増えたように感じることもあると思いますが、就活に相対的に時間が割けないところに推薦という選択肢が舞い込んでくることで、選択肢の検討を行う機会が減ります。(もちろん個人の努力でなんとでもできるところもありますが、相対的に厳しいのは事実だと思います)
それならば面接だけで横並びだった時期の方が選択肢が広かったのではないかと思うことがあるのです。
今回は理系の選択について簡単に見てきました。
終身雇用という制度が疑問視され移行が必要になる世の中で、スタートとなる選択肢を広げることの必要性がありますね。
理系にとってどのような移行期間が必要なのか
先日、WORK/LIFE SHIFTを読んだ感想をご紹介いたしました。
今回は実際に自分の立場の時にどのような移行を想定するべきなのかを考えてみました。
今、自分は理系の大学院生なので、予測や感じていることを含めてまとめていきます。
①研究の分野を変えていく
あくまで研究という大枠は変えずに分野だけ変えながら過ごしていくということです。
研究という大枠の勝手がわかっている分、移行に際してのコストは減るとは思いますが、「研究者」という人種の中にとどまるため、多様な人脈をいかに作るかということが問題となります。
また、今は情報革命により関連知識の重要性がありますが、破壊的イノベーションにより一瞬にして無価値になり得る分野もあるというリスクは付きまとうのではないかと思います。
②数字に関わる分野へと進む
移行期間を経る際に、理系に向いている分野を選択して進む選択肢になります。
金融のような分野が収入の良さもあり多いのではないのでしょうか。
どちらかというと向いている分野ということで、移行のコストを減らすことが出来ること、移行後に能力を活かしやすいということはあります。
ただ能力としては新しい能力を開発するというわけではないので、スキル部分で摩耗するというリスクが存在するのではないかと思います。
③別の分野に行く
研究という関係ない分野に行くという選択肢ももちろん考えられます。
当然、移行に際するコストは高く、移行後の能力開発の必要性があるため、上二つに比べハイリスクと感じます。
しかし、研究と違う人脈が開拓でき、別の視点から研究を見ることが出来るかもしれないという点はメリットなのではないでしょうか。
様々な選択肢が考えられると思いますが、このような選択肢の中からどのような移行期間を踏んでいくのかを検討しながら人生を歩む必要が出てくる時代ではないでしょうか。
次回は選択の際の現状をまとめてみたいと思います。
LIFE/WORK SHIFTを読んで
こんにちは。
前回まで「LIFE SHIFT」のご紹介をさせていただきました。
LIFE SHIFT、WORK SHIFTのご紹介をしましたが、その中で感じた持つべきマインドセットを書き起こしてみたいと思います。
「WORK SHIFT」の方が古い本なので、記されていることの中で今はもう変化していることもありますが、どちらもあり得る未来を示してくれています。
これが持つべきマインドの一つ目につながります!
「可能性のある未来を知る努力を怠らない」ということです。
今は未来が不確実だからと思うこともあるかと思いますが、世界を動かす「メガトレンド」は存在するのである程度の確度での未来を知ることが出来ます。
就活をしていた時に強く感じたことですが、未来を知る努力をせずに将来を決める人が多いのはもったいないのではないのでしょうか。
二つ目は、「学ぶ価値を自分で定義する」ということです。
不確実性の高い世の中では、学び続けることが必須になります。
勉強をしている時が顕著だと思いますが、なぜ勉強するのかわからなくなることがありますよね。これ何の意味があるのだろうかと。
目的を見失わないために、価値定義を常にするマインドを持つ必要があるのです。
価値を定義しにくいと思う時は、何かの「教養」を得られないかという視点を持つと定義づけしやすいです。
今回はこれからの時代を生きるための本を読んで感じたことを書いてみました!
【書評】 「LIFE SHIFT」 リンダ・グラットン アンドリュー・スコット (東洋経済新報社) Part3
今回で最後になりますが、リンダ・グラットン「WORK SHIFT」(プレジデント社)をご紹介します。
これまでの二回では、時代変化の要因や変化した人生プランについてご紹介してきました。
寿命が長くなるということはここまで大きな変化を伴うことであり、これまでの、特に日本の常識は3ステージの人生を前提としていたことを感じることができたのではないでしょうか。
最後は、その変化に際して変化させるべきお金や時間、人間関係に関するマインドセットと変化の課題をご紹介していきたいと思います。
【概要 Part3】
・変化する必要な資金の得方
・投資する時間と交代するパートナー関係
・変革への個人・教育・企業・政府の課題
○資金を得るための手段
100年時代になることで必要な資金を得る方法を見直す必要に迫られます。
当然人生が長くなることで老後の医療費等は上がる可能性が存在します。
それではそのためにどのようなことを頭に入れておかなければいけないのか。
一つ目は、金融リテラシーを持つことです。
少し計算すればわかるが、年率1%の投資であっても50年と経てば大きく変わります。
そのために、投資に対する金融知識を知る、つまり金融リテラシーを持つことが必要になるのです。
二つ目は、セルフ・コントロールです。
人間は、短期的な忍耐力がなく、長期的な忍耐力がある生物なので、常に長期的な計画を頭に入れて選択をすることが必要になります。
○時間の使い方と私生活
実は歴史を通して労働時間は減少してきています。産業革命のころには児童でさえ12時間を超える労働をしていた時代があったが、それが減少してきて余暇の時間が増えてきました。
しかし、余暇産業の発達により余暇を楽しまないといけないという強迫観念により自由に使える時間が減少したように感じているのです。
これからは、先ほどの移行期間や肉体的・精神的な回復時間というように、時間に対して投資するという考え方になります。
また、移行期間が発生するということでパートナーと移行期間を交代しながら、生活するということが増えていくと考えられます。パートナー関係によるリスク分散の一種になります。
○変化に際しての課題
当然このような変化に対しては現在課題があります。
しかし、大事なことは「変化を突き付けられてからではなく、変化を予期して行動すること」です。
これからは様々なステージが存在する人生を歩むことで、それが自分のアイデンティティを築くため、これまでのように社会にアイデンティティを規定されず、絶えず自問自答する必要が出てくるのです。
教育機関は、これから変化の要因となるテクノロジーの進歩に対応するための実践的な専門教育の必要が出てきます。
企業は変化を理解し、無形資産の重要性、移行期間、キャリア制度、仕事と家庭の関係、年齢に対する考え方、実験の必要性を認識した上で対応することが必要になります。
そして最後に政府は、まず「ピリオド寿命」の採用をやめることが必要であり、生じる不平等などへの対応が求められます。
【総括】
人生100年時代と言う言葉は浸透してきましたが、その際にどのような変化が起きるのかということがあまり明確にされていないように感じています。
もちろん一つに影響されすぎるのはよいことではありませんが、実は様々な機関がこのような予測をしている現状を認識し、「変化を突き付けられてからではなく、変化を予期して行動する」ことが求められると感じます。
人生は誰にでもあるものなので、その未来を垣間見るという意味で大変オススメの本です!
【書評】 「LIFE SHIFT」 リンダ・グラットン アンドリュー・スコット (東洋経済新報社) Part2
LIFE SHIFT Part2
今回は引き続き、リンダ・グラットン「WORK SHIFT」(プレジデント社)をご紹介します。
前回は人生100年時代と言われる背景、これからの生き方を変える要因をご紹介しました。
寿命に関しては驚きますね。いつも今の寿命しか入らないので、これまでの変化を見てみると明らかな傾向があり常識の怖さを感じたりします。
そして二回目となる今回は、これからの時代に必要となる資産や新たな人生のシナリオ、ステージに関してご紹介したいと思います。
【概要 Part2】
・お金に換算できない資産の必要性
・学び続ける人生
・移行期という人生の新しいステージ
○今後必要になる資産の捉え方
今も資本主義のひずみが拡大しているということが言われています。
それが拡大していく世界では、お金という資産だけを追い求める考えをシフトする必要性があるのです。
今後必要になる資産は、生産性資産・活力資産・変身資産になります。
生産性資産は所得を得るために必要なスキルといった資産であり、活力資産とは肉体や精神の健康のための人脈というような資産のことです。(WORK SHIFTの際にも同じような話があったと思います)
そして、特に新しく知るべき資産は「変身資産」であると思います。
これは次に紹介する新しい人生のシナリオで詳しく紹介するのですが、新しいことを学ぶための資産です。
○変化する人生のシナリオ
前回3ステージの人生の限界を紹介しました。
それではどのように人生は変化するのでしょうか。
端的に言ってしまうと「学ぶために変化するステージが含まれる」人生になります。
これまでのように、大学までで学ぶ期間が終わるのではなく、必要なタイミングで仕事を中断し学びなおすことになります。また、100年肉体的・精神的に健康に生きるために一度仕事を辞めて旅行に行って回復するといった時期も必要になるのです。
これまでのように入社から定年までずっと働き続けるのではなく、4つ5つのステージに分かれた人生になるのです。
○新しく登場する変化する期間
先ほど紹介したように、これからは仕事を中断し学びなおしたりするステージが出てきます。
多様性を持った人脈を生かし新しい価値観に触れたり、新しく必要になったことを学びなおすといったことを行う期間になります。
旅してこれまでの仕事とは違う人と触れ合ったり、自分でビジネスを行ってみることによって学んだりと様々な選択肢が可能です。
そして、これまで若者に特有と考えられていたこの時間が年齢と関係なくなるのです。つまり、これまでの若者の性質として考えられていた学ぶ意欲と柔軟性を持ち続ける必要が出てきます。
今回は、人生100年時代になりどのように変化するかを見てきました。
これまでとは違うマインドセットが必要になりますが、知っておけば対応できる変化であるように感じます。
【書評】 「LIFE SHIFT」 リンダ・グラットン アンドリュー・スコット (東洋経済新報社)
今回紹介する本は、リンダ・グラットン「WORK SHIFT」(プレジデント社)です。
今も嵐の櫻井さんがアフラックのCMで人生100年時代とおっしゃっていたりしますが、その言葉が浸透したのはこの本が知られてからのような気がしています。
新聞なんかにも取り上げられるなど、有名な書籍だとは思いますが、実際この本の内容はこれから生きていく上で知っておくべきことが多いと思いました。
就活期に読んでおいてよかったと強く思った本です。
今回から何回かに分けてご紹介していきたいと思います。
【概要 Part1】
・寿命が100年になる時代
・通用しなくなる3ステージの人生
・機械・AIで変わる雇用
○伸びる寿命
人生100年時代と言われているのは、単純に平均寿命が100歳になる日が来ると予測されているからです。
しかし、ここで一つ大きな疑問が湧きます。
「今の寿命って85歳くらいでしょ?寿命が100歳になる日なんて来るの?」
これは寿命の考え方にカラクリがあります。実は寿命というのは時間と共に平均寿命は変わらないとする「ピリオド寿命」と平均寿命は変化していくという「コーホート寿命」の二種類があるのです。
ここで内閣府発表の平均寿命の変化の統計および予測を見てみましょう。(引用:http://www8.cao.go.jp/kourei/kou-kei/24forum/pdf/tokyo-s3-2.pdf)
見てみるとこれまでの寿命は10年平均2年で伸びているのです。
これこそが人生が100年になるだろうと考えられている理由であり、個人的にはこちらの方が自然であると感じます。
大事なことは「ピリオド寿命」を前提とした考え方を捨てることであると思います。
○これまでの人生プラン
これまでの時代の人生は、「教育・仕事・引退」という三つのステージから考えられていました。
今だと高卒だと18歳、大卒だと22歳、大学院卒だと24歳で就職し、65歳まで働いた後に引退して仕事をせず過ごすというのが普通ですかね。当然のように教育・仕事・引退という三つに分かれています。
しかし、これからの時代はそうはいきません。少し考えてみればわかりますが、65歳で引退した後、100歳まで稼がずに生きるというのは現実的に不可能です。
つまり、これまでの人生プランは変化せざるを得ないのです。
○機械化・AIによる変化
機械化やAIによりなくなる仕事があるというのは、昨今よく取り上げられる話題です。
もちろんその脅威による変化も大きく、生涯一つの仕事に就くことの不確実性が上がっているというのはあります。
しかしそれだけではなく、機械化・AIによる変化は企業のエコシステム(生態系)にも及ぶのです。
どういうことかというと、テクノロジーの進歩により働き手たちの直接連携が容易になり、大企業という規模のメリットがこれまでより小さくなるということなのです。
この仕事の変化に関しては、前に紹介しましたWORK SHIFTの方が詳しく紹介されていますので、もしよければご覧ください。
今回は、これからの時代への変化の要因や崩れる常識について見てきました。
現代ほど常識を疑ってみるということが必要な時代はないのかもしれませんね。