【書評】 「人間の未来 AIの未来」 羽生善治 山中伸弥 (講談社)
記念すべき最初に紹介する本になります!!
最初に紹介するのは、羽生善治 山中伸弥「人間の未来 AIの未来」(講談社)です!
誰もが知っている史上最強棋士の羽生先生とノーベル賞科学者の山中教授による人間とAIの未来に関しての対談になります。
具体的には、iPS細胞をメインとした生命科学や人口知能の現在地をお二方が紹介しながら、人間の思考の本質や世界の未来を検討しています。対話形式であるため読みやすく、生命科学やAIに関してちょっと知ってみたいという人にはぜひオススメの本です!
【概要】
・21世紀の生命科学最大の発見は「ゲノムの解読技術」
・AIにより、高い知能を持つのは人間だけという前提が崩れ、「知能とは何か」を考える必要がある
・膨大な情報の「量」を暗記する能力ではなく、未知に対応する「質」へと転換できるか
・先端科学を世の中に伝えるなど、延長線上の選択肢以外の検討も必要なのではないか
○ゲノムの解読技術の現状
端的に言ってしまうと、「遺伝子操作で理想的な子供を創れるかもしれない」のが現在のゲノム解読技術です!
具体的に技術的には…
最近10年くらいでゲノムの解読技術は飛躍的に進歩し、今は人一人のゲノム解読が一日で可能になったことで、ゲノム配列が人の特性に及ぼす影響の解明につながり、「人為的なゲノムの編集」が行えるようになった。
大変なことが行えるところまで来ましたよね…
確かに先天性の病気を治せるようになるかもしれないという面では歓迎するべきと思いますが、果たしてこの技術で勝手に理想的な子供を創るということはどうなのかと感じてしまいます。
本書の中でも山中先生は「人間の倫理が科学技術に追いつけるか」とおっしゃっており、技術の発展に合わせた倫理観の構築ということが必要になると感じます。
○AIとはどのような存在か
「これまでの「高い知能を持つのは人間だけ」という前提を壊す存在」と定義するのがいいのではないでしょうか。
AIという存在がどのような影響を与えるかというと、様々な影響があります。その中でも特に面白いと感じたのが、人間の知能を明らかにする可能性があるという点です!
これまで高い知能を持つのは人間「だけ」という前提だったため、他との比較が出来なかったり、そもそも知能とは?といった問いが考えられることは少なかったように思います。しかし、その前提が崩れる可能性があることで「人間の知能」に迫ることが出来るかもしれないという羽生先生の考え方は大変面白く感じました。
みなさんも一度「知能」とは?と問いかけてみるといいのではないでしょうか。
ちなみに僕が思う人間の知能とは、選択肢を捨てる能力だと勝手に思っています笑
○今後重要な考え方
生命科学の進歩やAIといったテクノロジーの飛躍的な進歩が起きていますが、その中でどのような考え方をしていくべきか。日本の最先端を走るお二方の中で特に心に刻んでおきたいと思うものがありました。
羽生先生「結果を求めるよりも、プロセスの中に楽しみを見出せるかどうか」
山中先生「いかに回線型の人間を育てるか」
羽生先生のお言葉は、日々の努力を楽しみ誰よりも結果を出していると思うと思考方法も人の先をいっているなあと感じてしまうお言葉ですね…笑
山中先生のお言葉は、研究という視点を強く感じますが、一つのみを深め続けることが良しとなる今の日本の研究に対する言葉として、自分も心に手を当てて考えないといけないと感じました。
【総括】
現代の技術進歩の速さに改めて驚かされると共に、世界のトップを走る人はそれによって臨機応変に考え方を変えていますね。
考え方を変えることはもちろん必要になるのですが、テクノロジーだけでなく世界の流れを常に追い続ける姿勢を持たないといけないと感じました。
最初ということで少し長くなってしまったので、次回からはもっと簡潔に書いていきたいと思います!!