通学読書

理系大学院生が読んだ本の感想や気になったことを書きます。(twitter:@booktrain8807)

【書評】 「Microsoft 再始動する最強企業」 上阪徹 (ダイヤモンド社)

今回紹介する本は、上阪徹「Microsoft 再始動する最強企業」(ダイヤモンド社)です。

 

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知らない人がいないであろうMicrosoft、今や時価総額は約8600億ドルと超巨大IT企業です。

世界を支配していましたが、一時期低迷(とはいえ時価総額全米トップ5には常に入っていますが…笑)していました。

そんなMicrosoftが近年大きく変わりつつあります。

今回はそんなMicrosoftに関して詳しく解説している本をご紹介します!

 

【概要】

・変わる超巨大企業

・AIを最もスケールできる企業

・驚異的な生産性を実現する企業

 

○変革の時期を迎えるMicrosoft

Microsoftといえばwindowsやofficeといったソフトウェアのイメージが強いのではないでしょうか。

しかし、CEOにサティア・ナデラ氏が就任してから大きく変わりました。

まず会社の「ミッション」が変わりました。そして会社のカルチャーを変えていったのです。

キーワードは「グロースマインドセットという言葉で、Microsoftほどの超巨大企業がすべて成長という視点で捉えていこうという姿勢を前面に出すようになりました。

その結果、脱Windowsを掲げ、これまでの競合他社ともコラボするようになりました。

また、事業のメインを、ソフトウェアを売ることから、クラウドにシフトし、再び世界の先端を走る企業へと変革していったのです。

 

○AIをスケールできる可能性

実はMicrosoftはAIの分野で最先端を走っている企業なのです。

しかし、MicrosoftのAIは「さりげない」から他の企業のAIほど印象が強くないかもしれません。

Microsoftの世界最先端のAI技術として、最初に挙げられるのがCortanaというWindows10に搭載されている「声のAI」です。Windows10のパソコンの音声認識プログラムですね。

次に挙げられるのが、Chatbotという「自動会話プログラム」です。これはLINEなどで人間のような会話をしてくれるAIです。有名なところだと「りんな」でしょうか。

それ以外にも感情認識のAIなどをMicrosoftは開発しています。

そして重要なのが、MicrosoftがAIのエコシステムを作ることを目指していることです!

そのために、AIを様々なところでコラボレーションしています。また、AIについての倫理的な取り組みも強く意識しているのです。

AIを民主化するのはMicrosoftなのかもしれません。

 

○驚異的な生産性を誇る働き方

日本でMicrosoftが注目を集めているのが、働き方改革なのです。

Microsoftの働き方には、いくつかの特徴があります。

まずは、オフィスの中での自分の場所がフリーアドレスであるということです。社員はどこで働いても構わないのです。Skypeクラウドが組み込まれていることで、固定の場所にいる必要がなくなったのです。

次に、テレワークです。どこでも仕事ができるツールが整っているということで、社員のほとんどが月に一度はテレワークを行っているのです。

テレワークは「働き方改革」で大きく取り上げられていますが、それをMicrosoftは高い生産性で実践しているということから、テレワークはそれに伴うテクノロジーと共に導入する必要性を感じます。

そして、データを標準化することで、管理部門の生産性を劇的に向上させました。社内でBIツールを整備することで、データを作成する部分を整え、データを標準化したのです。

これらの改革を成し遂げられた根本は、Microsoftが改革への哲学を持っていたからなのです。少ないリソースで多くの仕事を持続可能な状況で行うという本来の働き方改革の思想を持っていたのです。

 

 

今回は、再始動した最強のIT企業、Microsoftに関してご紹介しました。

Microsoftという超巨大企業を見ていくと、今の時代はミッションやビジョンという経営の根幹がものすごく大事な時代だと感じます。

また、Microsoftには今回紹介した以外にも魅力的なテクノロジーが多く存在しており、これからの時代を作る企業であると感じます。

今はGAFAという最強の四騎士の印象が強いですが、Microsoftも四騎士と同等以上の力を持っており、四騎士と同様に知っておく必要があるのではないでしょうか。

今後のMicrosoftに目が離せませんね!