【書評】 「the four GAFA 四騎士が創り変えた世界」 スコット・ギャロウェイ (東洋経済新報社) Part6
前回までは、四騎士GAFA(G:Google、A:Apple、F:Facebook、A:Amazon)各社をご紹介しました。
四社の時価総額合計がフランスのGDP相当という巨大企業のビジョンや戦略を見てきました。
そして今回も、スコット・ギャロウェイ「the four GAFA 四騎士が創り変えた世界」(東洋経済新報社)を引き続きご紹介します。
本書の題の通り、四騎士はこれまでの世界を創り変えました。
そこで、今回は四騎士が作り上げたルールを紹介していきたいと思います。
これまで紹介したように四騎士各々に壮大なビジョンがありますが、四騎士には共通点もあります。
それを知ることが四騎士以降の世界では必要になるのです。
【概要】
・四騎士はペテン師から成りあがった?
・共通する「覇権の8遺伝子」
○四騎士の成長のスピードの要因
成長の速いテック企業のコア・コンピタンスには、実は「盗み」という要素が存在するのです。
その技術の他の人には見えない価値を見出し、その価値を引き出すことで、速いスピードで成長していきます。盗みからスタートしたものを自分でスケールしてしまうのですね。
もう一つの四騎士のずるいやり方は、情報を借りて返す時にお金を取ることなのです。
それを相手に気づかれないように行い、大きな利益を得るためには法を犯すこともいとわないのが、四騎士の成長スピードの速さの要因になっているのです。
○覇権の8遺伝子
四騎士には実は共通する8つの要素があります。
GAFAの各社に関してのこれまでの紹介でもいくつか出てきました。例えば、壮大なビジョンを持ち、それに対して投資するといったことです。
しかし、改めてここで8要素をご紹介したいと思います。
1商品の差別化、2ビジョンへの投資、3世界展開、4好感度、5垂直統合、6AI、7キャリアの拍付け、8地の利の8つです。
この中からこれまで紹介してない要素をいくつかご紹介したいと思います。
今の時代で注目するべきは、やはり6のAIでしょうか。
やはり四騎士に共通する最大の強さは、大量のデータを収集する(ビックデータ)こと及びそれを効果的に活用していることにあります。今話題のビックデータ×AIを異次元のレベルで行っているのです。それにより、GoogleやFacebookは巨大な規模と個別のターゲティング能力を持ち、Amazonは世界の小売りの流れを理解し、Appleは購買データを個人に結び付ける能力を持つのです。
今、価値のあるデータを支配し活用しているのがGAFAであるということです。
そして、個人的にもう一つ注目したのは、7のキャリアの拍付けです。
今世界のエリートが最初に入社するのは、GAFAなのです。GAFAに入社することがその後のキャリアの価値になる時代なのです。人材を制覇する限り、GAFAによる支配の時代は終わらないのではないかと感じてしまうため、この要素を取り上げました。
日本もこれからキャリアの拍付けとなるキャリアの変化は起きるのでしょうか。今はまだ古い観念にとらわれている気がします。
今回は、四騎士に共通する要素に関してみてきました。
四騎士の共通点を見ると、情報を得て活用することに対するこだわりが、とてつもない価値を生み出すのだということを思い知らされます。
まさに現代の石油はデータなのですね。
次回が最後になりますが、NEXT GAFAの候補とこれから必要となる武器をご紹介します!