【書評】 「ゴールドマン・サックス M&A戦記」 服部暢達 (日系BP社)
こんにちは。
今回紹介する本は、服部暢達「ゴールドマン・サックスM&A戦記」(日系BP社)です。
世界的に有名な投資銀行であるゴールドマンサックス(GS)のM&Aに関しての裏側を紹介してくださっている本です。
世界を動かす投資銀行の動きを知るのにいい本だと思います。
また、個人的には筆者が金属工学科出身の方であり、自分も素材系の研究をしているので、キャリアを考える上でも一つの選択肢として知っておいた方がよいかと思う内容でした。
【概要】
・巨大案件を動かす投資銀行
・「会社と個人は対等である」ということ
・捉えなおすべき日本の経営者文化
○投資銀行の仕事
GSやモルガンスタンレーとった投資銀行がどのような規模でどのような仕事をしている企業かについて、イメージはあれども詳しくは知らないことが多いかと思います。
本著では、筆者がGSのアナリスト(採用時)時代から、東京支店のパートナー時代までの案件の中から印象深いものを紹介してくださっています。
東京支店のパートナー時代の案件では、現JFEやKDDIの統合の案件の紹介もあり、業界にとても大きな影響を与えるM&A案件の裏に存在するGSの姿を垣間見ることが出来ます。このような巨大案件の裏の投資銀行の仕事に対してイメージを持つことは、社会の動きを知る上で大変参考になるかと思います。
○会社との関係性
会社と個人の関係性は様々な考え方があります。会社が個人を守ってくれると考えている方も多いかと思います。
そのような中で筆者の会社との関係の捉え方は大変参考になります。
「会社と個人とは対等な関係であり、日々勝負である」という考え方。
そのため、自分の人生はリスクを取って切り開く必要がある。
リスクを取ることを恐れてしまう日本人にとって必要なマインドセットであるように感じました。
自分自身も考え方の一つとして頭に入れて生きていきたいですね。
○日本の経営者文化
本著では、筆者のGS時代の経験等から欧米の経営者や日本の経営者に対する感想が述べられています。
欧米の優秀なCEOに共通する強みは、一様にジェネラリストではなく、自分の会社の専門家である。
日本の経営文化は、社会に対する貢献への使命感が強く、道徳規範で考えても高い基準を有しており、いずれ来るアジアの時代の経営倫理という面で大きな役割を果たせるのではないか。
どちらも様々な優秀な経営者と接してきた筆者だからこそ持つ重みがあると思います。特に日本の経営文化は捉えなおし、本質的な価値を考えるべきフェイズに来ていると思います。
働き方改革なども根底の本質の部分から見直してくれればいいのにと個人的に思っています。
【総括】
GSといった世界を動かす世界を知ることは、選択肢を広げる際に必要な視点だと思います。
その中で示唆された企業への接し方や、経営文化というものを個々人が考えることが大事な時代になるのではないでしょうか。
投資銀行に興味がなくても、世界を動かす企業の考え方を垣間見れると思うので、経営などに興味がある方にもおすすめの本です!