【書評】 「LIFE SHIFT」 リンダ・グラットン アンドリュー・スコット (東洋経済新報社) Part3
今回で最後になりますが、リンダ・グラットン「WORK SHIFT」(プレジデント社)をご紹介します。
これまでの二回では、時代変化の要因や変化した人生プランについてご紹介してきました。
寿命が長くなるということはここまで大きな変化を伴うことであり、これまでの、特に日本の常識は3ステージの人生を前提としていたことを感じることができたのではないでしょうか。
最後は、その変化に際して変化させるべきお金や時間、人間関係に関するマインドセットと変化の課題をご紹介していきたいと思います。
【概要 Part3】
・変化する必要な資金の得方
・投資する時間と交代するパートナー関係
・変革への個人・教育・企業・政府の課題
○資金を得るための手段
100年時代になることで必要な資金を得る方法を見直す必要に迫られます。
当然人生が長くなることで老後の医療費等は上がる可能性が存在します。
それではそのためにどのようなことを頭に入れておかなければいけないのか。
一つ目は、金融リテラシーを持つことです。
少し計算すればわかるが、年率1%の投資であっても50年と経てば大きく変わります。
そのために、投資に対する金融知識を知る、つまり金融リテラシーを持つことが必要になるのです。
二つ目は、セルフ・コントロールです。
人間は、短期的な忍耐力がなく、長期的な忍耐力がある生物なので、常に長期的な計画を頭に入れて選択をすることが必要になります。
○時間の使い方と私生活
実は歴史を通して労働時間は減少してきています。産業革命のころには児童でさえ12時間を超える労働をしていた時代があったが、それが減少してきて余暇の時間が増えてきました。
しかし、余暇産業の発達により余暇を楽しまないといけないという強迫観念により自由に使える時間が減少したように感じているのです。
これからは、先ほどの移行期間や肉体的・精神的な回復時間というように、時間に対して投資するという考え方になります。
また、移行期間が発生するということでパートナーと移行期間を交代しながら、生活するということが増えていくと考えられます。パートナー関係によるリスク分散の一種になります。
○変化に際しての課題
当然このような変化に対しては現在課題があります。
しかし、大事なことは「変化を突き付けられてからではなく、変化を予期して行動すること」です。
これからは様々なステージが存在する人生を歩むことで、それが自分のアイデンティティを築くため、これまでのように社会にアイデンティティを規定されず、絶えず自問自答する必要が出てくるのです。
教育機関は、これから変化の要因となるテクノロジーの進歩に対応するための実践的な専門教育の必要が出てきます。
企業は変化を理解し、無形資産の重要性、移行期間、キャリア制度、仕事と家庭の関係、年齢に対する考え方、実験の必要性を認識した上で対応することが必要になります。
そして最後に政府は、まず「ピリオド寿命」の採用をやめることが必要であり、生じる不平等などへの対応が求められます。
【総括】
人生100年時代と言う言葉は浸透してきましたが、その際にどのような変化が起きるのかということがあまり明確にされていないように感じています。
もちろん一つに影響されすぎるのはよいことではありませんが、実は様々な機関がこのような予測をしている現状を認識し、「変化を突き付けられてからではなく、変化を予期して行動する」ことが求められると感じます。
人生は誰にでもあるものなので、その未来を垣間見るという意味で大変オススメの本です!
【書評】 「LIFE SHIFT」 リンダ・グラットン アンドリュー・スコット (東洋経済新報社) Part2
LIFE SHIFT Part2
今回は引き続き、リンダ・グラットン「WORK SHIFT」(プレジデント社)をご紹介します。
前回は人生100年時代と言われる背景、これからの生き方を変える要因をご紹介しました。
寿命に関しては驚きますね。いつも今の寿命しか入らないので、これまでの変化を見てみると明らかな傾向があり常識の怖さを感じたりします。
そして二回目となる今回は、これからの時代に必要となる資産や新たな人生のシナリオ、ステージに関してご紹介したいと思います。
【概要 Part2】
・お金に換算できない資産の必要性
・学び続ける人生
・移行期という人生の新しいステージ
○今後必要になる資産の捉え方
今も資本主義のひずみが拡大しているということが言われています。
それが拡大していく世界では、お金という資産だけを追い求める考えをシフトする必要性があるのです。
今後必要になる資産は、生産性資産・活力資産・変身資産になります。
生産性資産は所得を得るために必要なスキルといった資産であり、活力資産とは肉体や精神の健康のための人脈というような資産のことです。(WORK SHIFTの際にも同じような話があったと思います)
そして、特に新しく知るべき資産は「変身資産」であると思います。
これは次に紹介する新しい人生のシナリオで詳しく紹介するのですが、新しいことを学ぶための資産です。
○変化する人生のシナリオ
前回3ステージの人生の限界を紹介しました。
それではどのように人生は変化するのでしょうか。
端的に言ってしまうと「学ぶために変化するステージが含まれる」人生になります。
これまでのように、大学までで学ぶ期間が終わるのではなく、必要なタイミングで仕事を中断し学びなおすことになります。また、100年肉体的・精神的に健康に生きるために一度仕事を辞めて旅行に行って回復するといった時期も必要になるのです。
これまでのように入社から定年までずっと働き続けるのではなく、4つ5つのステージに分かれた人生になるのです。
○新しく登場する変化する期間
先ほど紹介したように、これからは仕事を中断し学びなおしたりするステージが出てきます。
多様性を持った人脈を生かし新しい価値観に触れたり、新しく必要になったことを学びなおすといったことを行う期間になります。
旅してこれまでの仕事とは違う人と触れ合ったり、自分でビジネスを行ってみることによって学んだりと様々な選択肢が可能です。
そして、これまで若者に特有と考えられていたこの時間が年齢と関係なくなるのです。つまり、これまでの若者の性質として考えられていた学ぶ意欲と柔軟性を持ち続ける必要が出てきます。
今回は、人生100年時代になりどのように変化するかを見てきました。
これまでとは違うマインドセットが必要になりますが、知っておけば対応できる変化であるように感じます。
【書評】 「LIFE SHIFT」 リンダ・グラットン アンドリュー・スコット (東洋経済新報社)
今回紹介する本は、リンダ・グラットン「WORK SHIFT」(プレジデント社)です。
今も嵐の櫻井さんがアフラックのCMで人生100年時代とおっしゃっていたりしますが、その言葉が浸透したのはこの本が知られてからのような気がしています。
新聞なんかにも取り上げられるなど、有名な書籍だとは思いますが、実際この本の内容はこれから生きていく上で知っておくべきことが多いと思いました。
就活期に読んでおいてよかったと強く思った本です。
今回から何回かに分けてご紹介していきたいと思います。
【概要 Part1】
・寿命が100年になる時代
・通用しなくなる3ステージの人生
・機械・AIで変わる雇用
○伸びる寿命
人生100年時代と言われているのは、単純に平均寿命が100歳になる日が来ると予測されているからです。
しかし、ここで一つ大きな疑問が湧きます。
「今の寿命って85歳くらいでしょ?寿命が100歳になる日なんて来るの?」
これは寿命の考え方にカラクリがあります。実は寿命というのは時間と共に平均寿命は変わらないとする「ピリオド寿命」と平均寿命は変化していくという「コーホート寿命」の二種類があるのです。
ここで内閣府発表の平均寿命の変化の統計および予測を見てみましょう。(引用:http://www8.cao.go.jp/kourei/kou-kei/24forum/pdf/tokyo-s3-2.pdf)
見てみるとこれまでの寿命は10年平均2年で伸びているのです。
これこそが人生が100年になるだろうと考えられている理由であり、個人的にはこちらの方が自然であると感じます。
大事なことは「ピリオド寿命」を前提とした考え方を捨てることであると思います。
○これまでの人生プラン
これまでの時代の人生は、「教育・仕事・引退」という三つのステージから考えられていました。
今だと高卒だと18歳、大卒だと22歳、大学院卒だと24歳で就職し、65歳まで働いた後に引退して仕事をせず過ごすというのが普通ですかね。当然のように教育・仕事・引退という三つに分かれています。
しかし、これからの時代はそうはいきません。少し考えてみればわかりますが、65歳で引退した後、100歳まで稼がずに生きるというのは現実的に不可能です。
つまり、これまでの人生プランは変化せざるを得ないのです。
○機械化・AIによる変化
機械化やAIによりなくなる仕事があるというのは、昨今よく取り上げられる話題です。
もちろんその脅威による変化も大きく、生涯一つの仕事に就くことの不確実性が上がっているというのはあります。
しかしそれだけではなく、機械化・AIによる変化は企業のエコシステム(生態系)にも及ぶのです。
どういうことかというと、テクノロジーの進歩により働き手たちの直接連携が容易になり、大企業という規模のメリットがこれまでより小さくなるということなのです。
この仕事の変化に関しては、前に紹介しましたWORK SHIFTの方が詳しく紹介されていますので、もしよければご覧ください。
今回は、これからの時代への変化の要因や崩れる常識について見てきました。
現代ほど常識を疑ってみるということが必要な時代はないのかもしれませんね。
マイクロプラスチックという脅威
今日は珍しく研究に近い内容を書いてみました!
普段は金属系の素材研究をしていますが、高分子などの分解性材料などの話も学ぶ機会があります。
実はナノレベルでの素材が環境問題を引き起こしかねないという現状があります。
それが題名の通り、「マイクロプラスチック」なのです。
たまにTVで話題になっていたりするのでご存知の方もいらっしゃると思います。
名前の通りとっても小さいプラスチックで、ビニール袋なんかの製造でできてしまったりします。
サイズとして5nmくらい!とても小さいです!(普段Å(オングストローム)の世界で話をしているので僕は大きいとか思ってしまったりしますが笑)
このプラスチック何が問題かというと、小さすぎて取り除けないため海中を漂流したりすることでヘドロをまとい有毒物質になってしまうということです。そしてそのまま魚の体内に入り、生態系に紛れ込んでしまうのです。
このような背景から生分解性の高いプラスチックの開発が必要となります。
また、節約も大事になってくるのですね。
「化学はもっと人の話をすべきだ」というCMのようなことをよく言っていますが、その逆の化学を理解する努力も必要だと感じた学びでした!
【書評】 「ゴールドマン・サックス M&A戦記」 服部暢達 (日系BP社)
こんにちは。
今回紹介する本は、服部暢達「ゴールドマン・サックスM&A戦記」(日系BP社)です。
世界的に有名な投資銀行であるゴールドマンサックス(GS)のM&Aに関しての裏側を紹介してくださっている本です。
世界を動かす投資銀行の動きを知るのにいい本だと思います。
また、個人的には筆者が金属工学科出身の方であり、自分も素材系の研究をしているので、キャリアを考える上でも一つの選択肢として知っておいた方がよいかと思う内容でした。
【概要】
・巨大案件を動かす投資銀行
・「会社と個人は対等である」ということ
・捉えなおすべき日本の経営者文化
○投資銀行の仕事
GSやモルガンスタンレーとった投資銀行がどのような規模でどのような仕事をしている企業かについて、イメージはあれども詳しくは知らないことが多いかと思います。
本著では、筆者がGSのアナリスト(採用時)時代から、東京支店のパートナー時代までの案件の中から印象深いものを紹介してくださっています。
東京支店のパートナー時代の案件では、現JFEやKDDIの統合の案件の紹介もあり、業界にとても大きな影響を与えるM&A案件の裏に存在するGSの姿を垣間見ることが出来ます。このような巨大案件の裏の投資銀行の仕事に対してイメージを持つことは、社会の動きを知る上で大変参考になるかと思います。
○会社との関係性
会社と個人の関係性は様々な考え方があります。会社が個人を守ってくれると考えている方も多いかと思います。
そのような中で筆者の会社との関係の捉え方は大変参考になります。
「会社と個人とは対等な関係であり、日々勝負である」という考え方。
そのため、自分の人生はリスクを取って切り開く必要がある。
リスクを取ることを恐れてしまう日本人にとって必要なマインドセットであるように感じました。
自分自身も考え方の一つとして頭に入れて生きていきたいですね。
○日本の経営者文化
本著では、筆者のGS時代の経験等から欧米の経営者や日本の経営者に対する感想が述べられています。
欧米の優秀なCEOに共通する強みは、一様にジェネラリストではなく、自分の会社の専門家である。
日本の経営文化は、社会に対する貢献への使命感が強く、道徳規範で考えても高い基準を有しており、いずれ来るアジアの時代の経営倫理という面で大きな役割を果たせるのではないか。
どちらも様々な優秀な経営者と接してきた筆者だからこそ持つ重みがあると思います。特に日本の経営文化は捉えなおし、本質的な価値を考えるべきフェイズに来ていると思います。
働き方改革なども根底の本質の部分から見直してくれればいいのにと個人的に思っています。
【総括】
GSといった世界を動かす世界を知ることは、選択肢を広げる際に必要な視点だと思います。
その中で示唆された企業への接し方や、経営文化というものを個々人が考えることが大事な時代になるのではないでしょうか。
投資銀行に興味がなくても、世界を動かす企業の考え方を垣間見れると思うので、経営などに興味がある方にもおすすめの本です!
10001回目は変わるのだろうか ~数学的帰納法って面白いよ~
こんにちは。
暑くて頭をやられてしまったのか、こんな題で更新しているASUMOです。
前回ご紹介した「人口知能はなぜ未来を変えるのか」の本の中に、歴史などの教養としての意味を再認識することが必要とありましたが、理系でひねくれているので「数学も教養として面白くね?」と思ってしまい、今回はこんな数学の使い方したら面白いのではないかという紹介を勝手にしようと思います!笑
題名の10001回目というとみなさんドリカムの「何度でも」を思い出されるのではないでしょうか。
「10000回ダメでへとへとになっても10001回目は何か変わるかもしれない」
いい歌詞ですね。
ここでひねくれた理系魂が発動します!笑
「10000回ダメなら10001回目もダメだろう」
なんと夢のない話をしているのか!そんな声が聞こえます笑
しかし、こんなひねくれたことを考えてしまったかというと、人間の思考上仕方ないのです!
人間は基本的に過去に何度かあった出来事を延長線上に近似して思考します。
そりゃ100回連続で起きたら101回目も同じことが起きると考えますよね。
実はこの考え方が数学には存在するのです!
それこそ「数学的帰納法」です!(一度くらいは聞いたことがあるかもしれません)
数学的帰納法を簡単に表すと以下のような感じです。
このように連続する二つの事象に成り立つ関係を永遠に続くと投影して考えるのです。
これを数学的に利用するのが「数学的帰納法」なのです。
これを知ると日常のいろいろなところで実はこの考え利用してると思いませんか?
(ドリカムの歌詞をひねくれて考えてりはしないでください笑)
こんな感じで数学の考え方を日常に活かしていることは実は結構あるのです!
なので一つの教養として数学を触ってみるのも面白いのではないでしょうか!!